16.経営システムを革新せよ!

外部環境の変化に伴ってシステムを変更する必要があります。

しかし、どの方向に変化させればよいのか戸惑う場面も少なくありません。

やはり、これまでの延長線上で考えしまうのではないでしょうか?

ただし、そこを断ち切らなければ業績向上は望めません。

では、いったいどの方向へ変化させればよいのでしょうか?

 

(1) システムについての基本的な理解は?

さて、いよいよ今回から「人が動かすシステムとしての経営」の本題に入っていくことになります。

その前に、これまでにお話した内容を整理させていただきます。

1.システムそのものについての説明と分析的アプローチと設計的(デザイン)アプローチの違い
2.今後はデザインアプローチによるシステムの設計が必要な理由
3.デザインアプローチによって研修システムを構築し運営した場合の実例
4.デザインアプローチによって営業マンがお客様との共通課題を設定する場合の実例
5.システムを動かすのは「人」であり、その「人」の想いの強さがシステムの原動力であること

以上の様に、ここまでで、色々な角度からシステムについての理解をしていただきました。

そこでここではまず、経営システムの設計についての概要をお話させていただくことにいたします。

 

(2) トップ主導型から現場主導型へ!

これまで述べてきた中でも繰り返し出てきましたが、これからのマネジメントはトップ主導型ではなく現場主導型に移行しつつあります。

なぜなら、成長が期待される時代ならば、最初に「経営システム有りき」でオペレーションのみを考えれば良かったわけです。

このとき、社員は上司から「言われたことを言われたとおり」実行することを求められました。

言い換えれば戦略を作るのはトップであり、その実行部隊が社員だったというわけです。

すると、研修で求められるのも、このオペレーションをスムーズに進めていくための考え方とやり方になるわけです。

しかし、これからは市場の成長がほとんど期待できなくなってきました。

すると、市場の成長が見込める時代の「経営システム」から市場の成長が見込めない時代の「経営システム」へと革新をはかる必要が出てくるわけです。

しかも、このシステムは定型ではありません。

 

 

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15.単なるモノ売りからコンサルタントへ!

お客様は必要のないモノは買いません。

しかし、自社の売り上げ向上に役立つ場合は別です。

もしくは、効率が上がる場合も同様です。

ゆえに、いかにして自社の売りモノがお客様の売り上げ向上や効率向上に役立つかを訴える必要があります。

そのためには、今後、何に取り組んでいく必要があるのでしょうか?

 

(1) お客様の課題こそが販売戦略となる!

以上のようにして、この会社さんとの間で課題を共有化した私は、早速会社に帰り上司との相談のうえ、ある提案を持ち込み受注に成功しました。

もちろん、聴きだした情報はもっとたくさんありますし、会話も前記のようにスムーズに進んだわけではありません。

わかっていただきたいのは、私が聴き出して整理したのが、このお客様のビジョンであり、そのビジョン実現のためのSWOT(スウォット)だということです。

それらをもとにして考えていくと、この会社の取り組むべき方向性(課題)が見えてくるというわけです。

この課題が、言ってみればこの会社の「販売戦略」となります。

 

(2) 売り上げを伸ばして感謝される!

そこで、私どもの会社でその戦略実現のために、何をお手伝いできるかが提案の内容となります。

すると戦略実現のために私どもの協力が必要となるので、必然的に私どもから商品を購入せざるを得なくなるわけです。

よって、安易な条件交渉に自ら手を染めなくても良くなります。

しかも、私どもと付き合って売り上げまで延びるのですから、お客様から感謝されることになります。

まさに営業冥利につきるということです。

しかし、すべてのお客様にこれができるとは思っていません。

でも、この事を常に念頭に入れて商談を進めていくと、色々な情報がアンテナに引っ掛かってくるようになり、本当にお客様のことを考えるようになってきました。

しかも、これから自分が力を入れるに値するお客様かどうかの見極めも付くようになったので、無駄な動きをしなくて済むようになりました。

以上が私の経験談です。

皆さんの参考になれば幸いです。

 

(3) お客様の経営を理解せよ!

さて、ではこの営業マンは一体何を行ったのでしょうか。

それは結局、お客様企業の経営システムの構築に協力したといえるわけです。

この会社のビジョン実現のために、この会社自身が何をどうすれば良いのか(経営システム)を明確にし、そのうえで自社で対応できることを訴えました。

つまり、これからの営業マンは、お客様企業の経営そのものが理解できる力が要求されるということです。

さもないと、いつまで立っても価格競争の泥沼から抜け出ることはできません。

そこで次回からは経営システムの構築をどのようにすればできるのか、というテーマに入っていくことにします。

 

 

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14.お客様と営業はパートナーたれ!

お客様と営業がカウンターを挟んで対立関係に立っていると、「買う立場」「売る立場」という相対立する関係から脱却することはできません。

しかし、営業がカウンターの向こうに座ったとき、垣根が取り払われ、お客様と営業はパートナーの関係に立ちます。

では、いったいどうすればそれはできるのでしょうか?

 

(1) 儲かる話を求めている!

ここにこの「販売店」の戦略があります。

この戦略を「販売店」とともに作り上げることが、現在の私の大きなテーマとなっています。

そこで、実際にどのように作り上げていったのか、実例をご紹介いたします。

ある常連の「販売店」(取り引き規模は小さいが、こまめに顔を出しているところ)に訪問をして、売り込みをかけていたときのことです。

どう考えても他社より条件が良いにもかかわらず、お客様が首を縦に振ってはくれませんでした。

業を煮やした私は、怒りを抑えながら切り出しました。

「じゃあ社長どうすればうちと付き合ってくれるんですか。」

「儲かる話しを持ってきてくれれば付き合うよ。」

 

(2) 未来に目を向けろ!

「この条件だと十分儲かるじゃないですか。」

「でもそれは今回だけだろ。あっちはずいぶん付き合いが長いんだよ。」

「じゃあ今回だけでなければ良いんですね。」

「そうだよ。この先も付き合えるかどうかが問題なんだ。」

「社長はこの先どうしたいんですか。」

「そうだな。今の売り上げを2、3割は伸ばしたいな。」

「ということは12、3億円というところですか。」

「うん、それぐらいだね。」

 

(3) SWOTから課題化せよ!

「でも、どうやって。」

「それがわかれば苦労はしないよ。」

「確か社長のところは施工管理に定評がありましたね。」

「うん、でも営業力が今一つなんだ。」

「しかも、最近は大手参入が激しく、受注に影響を与えているということでしたね。」

「うん、それでも集合住宅の市場価格の低下は少なくて、何とかしのいでるってとこかな。」

「そうすると、施工管理の良さを前面に出しながら、営業力を強化し、集合住宅の分野に打って出る、というのが御社の課題ということでしょうか。」

「まあ、そんなところかな。」

「わかりました。ではそのために、当社で何がお手伝いできるかということを、次回提案させていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。」

「ああ、良いよ。」

 

 

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13.押し込みからの脱却を図る!

営業が自己都合でいくら押し込もうとしてもお客様に断られてしまいます。

しかし、お客様の立場に立って、お客様の売り上げを伸ばすことができれば、自ら進んで買ってくださいます。

では、どうすれば、お客様は自ら進んで買ってくださるのでしょうか?

 

(1) 仕事の質が変わってきた!

前回は、以下の点についてご理解いただきました。

1.営業マンが売るのは商品そのものではなく、お客様企業の「事業戦略」や「業務戦略」であること。
2.その「事業戦略」や「業務戦略」を作成するに際しては、お客様企業のビジョンとSWOT(スウォット)分析から導くと作成しやすいこと。

そこで第4編では具体的な例を挙げて解説を進めさせていただきます。

尚、ご理解いただきやすいように今回も物語風にさせていただくことをご了承ください。

私は、ある建設資材メーカーの営業マンです。

主なお客様は工務店に資材を卸す「販売店」となります。

その規模は、社長と奥さんだけというところから従業員数が十数名というところまでの小規模零細企業がほとんどです。

これまでの営業活動はというと、お客様からの電話注文への対応や訪問しての見積もり依頼に対する対応、それに工事現場への資材の搬入やクレーム処理といったものでした。

今でもこれらの仕事が無くなったわけではわけではありません。

しかし、現在では徐々に仕事の質が変わってきたのも事実です。

 

(2) 販売店の売り上げを上げろ!

では、何が変わったかというと、すべてのお客様に対して「何が本当に役に立つのか」ということを真剣に考えはじめたことです。

以前は、単に「価格」を安くすることとと、「納期」通りに商品を間に合わせるだけでお客様のお役に立っていると思っていましたが、現在はそうではありません。

確かに、この二つだけを求めるお客様も、まだたくさんいらっしゃいます。

しかし、よくよく本音を聞いてみると、どのお客様も「儲けたい」ということです。

では儲けるためにはどうすれば良いのか、「販売店」の仕入れ値を下げることだけに協力をしていれば良いのかということです。

これには当然限界があります。

それでは、何に焦点を合わせれば良いのかというと、後は売上高そのものを伸ばしていただくしか方法は無いということになります。

つまり、いかにして「販売店」に商品を売り込むかということではなく、いかにして「販売店」から工務店に商品を売っていただくかということです。

もっと言うならば、いかにして工務店からお施主様に売っていただくかということです。

これができたなら「販売店」の売り上げが伸びるため、価格競争に巻き込まれることも少なくなるわけです。

それでは一体どうすれば「販売店」の売上高は向上するのでしょうか。

 

 

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12.将来と現実の統合を図れ!

誰も今のままでよいとは思っていないでしょう。

どんなに裕福でも、「できるものなら、もう少し・・・。」という欲は大なり小なりあります。

ましてや、今日の財布に汲々としているお客様であれば何をかいわんやです。

しかし、夢だけで人は生きていけません。

また、現実だけでは毎日がつらくなります。

では、いったいどうすればよいのでしょうか?

 

(1) まず、ビジョンありき!

そこで、お客様から「将来の希望(ビジョン)」を聞き出します。

とはいっても、いきなり聞かれて答えられる人は少ないでしょう。

営業マンとしては、相談相手の姿勢で一緒になって作り上げていくスタンスが要求されます。

しかも、現実にはお客様が所属する会社の上位のビジョンや方針等も加味していかなければなりません。

しかし、「将来の希望(ビジョン)」を決めたからといって、それだけで「戦略」ができるわけではありません。

これだけでは単なる夢物語に終わってしまいます。

故に、このビジョンを実現するためには、やはりしっかりと 足元を見据えておく必要が有ります。

 

(2) 足元を固めよ!

では 足元とは何でしょうか。

それは、ビジョン実現のために用いる内部資源(現有資産)であり、それを取り巻く外部環境(物理的環境や経済環境)のことです。

内部資源を具体的に言うと、「人材の質や数、売るものの質や量、働く環境、予算、情報の質や量また伝達システム、時間」等です。

要するに、経営において必要とされる資源のすべてを指します。

そして、外部環境を具体的に言うと、「立地条件、得意先や仕入先等の質や数、自社内であっても他部門の協力度、為替レート、株価、消費税の行方」等です。

そこで、この内部資源と外部環境を正確に事実で捉えます。

そのうえで、ビジョン実現に役に立つかどうかを判断基準において、それぞれをさらに2つに分けます。

内部資源のうち、ビジョン実現に役に立つものを「強み(S:Strength)」と呼び、逆に足を引っ張るものを「弱み(W:Weakness)」と呼びます。

また、外部環境のうち、ビジョン実現に役に立つものを「機会(O:Opportunity)」と呼び、逆に足を引っ張るものを「脅威(T:Threat)」と呼びます。

こうやって分けることをSWOT(スウォット)分析と言います。

 

(3) SWOT分析から解決策へ!

この「SWOT」と「ビジョン」をしっかりと見つめていくと、その会社や部門、担当者が今後取り組まなければならない「戦略」が見えてきます。

そして、「戦略」実現のためにどうすれば よいのか、ということが、営業マンからお客様に対しての「提案(解決策)」になるわけです。

この提案の中に、営業マンが販売する商品等が入ってくると、先ほども述べたとおり、お客様はその商品等を喜んで買ってくれることになります。

それでは、次回からはこのような方法で「戦略」を作成するとどうなるのかということを実例を挙げて御紹介したいと思います。

 

 

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11.人が物を買う理由を考えろ!

今現在は買う気がないお客様は大勢います。

また、すでにおつきあいしている他社の営業もいることでしょう。

さらに、現状の仕入れ先等で特に問題があるわけではないこともあります。

そのような状況の中で、どうやって突破口を開けばよいのでしょうか?

何も解決策が見つからないような気もします。いかがでしょうか?

 

(1) 営業は戦略コンサルタントたれ!

では、具体的に見ていくことにしましょう。

尚、これからご説明させていただく営業スタイルが通用するのは、以下のような営業マンの方々です。

1.得意先が小売店か卸売店である営業マン。
2.得意先がエンドユーザーであっても販売する商品等を使ってそのエンドユーザーが仕事をする場合、そのエンドユーザーに商品等を販売する営業マン。

そこで、以上のような営業マンが何をしなければいけないのかというと、

1.の営業マンはお客様の「事業戦略」。
-小売店や卸売店が儲かる仕組みを作る-

2.の営業マンはお客様の「業務戦略」。
-エンドユーザーの仕事の効率性や効果性を上げる-

をお客様とともに作り上げるということです。

この戦略実践のための提案(解決策)の中に、営業マンが扱っている商品等が入っていれば、お客様は喜んでその商品等を買ってくださるわけです。

なぜなら、お客様は自分の課題が解決するからです。

では、どうやってお客様の「事業戦略」等を作成すれば よいのでしょうか。

 

(2) お客様の目を将来に向けさせよ!

このときに、お客様の「現在の問題や悩みは何か」ということだけに焦点を合わせないことが大切です。

なぜなら、対症療法に終始してしまい、お役立ちの質や量も小さく、「労多くして益少なし」になりやすいからです。

しかも、本当にそれが問題なら自分で解決しているはずです。

にもかかわらず、問題や悩みとして存在するということは、現状どうしようもないということも考えられます。

特に、ライバル社とつきあっているお客様の場合には、「現在の問題や悩み」を解決するための提案を持っていったとしても、ライバル社に取って代われるほどのインパクトのある提案にはなりにくいことが予測できます。

ですからお客様に「確かにそれは大事なことだと思うが、色々としがらみも有って・・・。」と言われて断られるのがおちです。

つまり、現状を改善するような提案では「戦略」として魅力が乏しく、お客様の食指を動かすことができないということです。

そこで、お客様の目を「現状」ではなく「将来」に向けさせることが必要になってきます。

なぜなら、現状は営業マンがお勧めする商品等を「買えない」理由がたくさんあっても、将来はわからないからです。

しかも、将来は現状より、より良くなっていたいと思うのが人情だからです。

そこに「戦略」の必要性が出てきます。 より よい「将来」を創るために何をすれば よいのか、それがお客様自身の「事業戦略」であり、「業務戦略」ということになります。

 

 

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10.営業とは何をする仕事か?

営業が売りたい気持ちが強いことはよく分かります。

そうでないと、営業の仕事は務まりません。

しかし、「売らんかな」の気持ちが強すぎると・・・。

買う方は遠慮したくなってしまいます。

そこで、買いたくなる気持ちをいかに起こすかが重要なポイントになってきます。

では、いったいどうすればそれはできるのでしょうか?

 

(1) 営業は誇りの持てる仕事?

それでは、いったい「営業とは何をする仕事」なのでしょうか。

そこで、先ほどの営業の「機能」に再登場してもらいます。

営業とは「自社の商品とお客様を結び付ける」という機能を持った仕事。

ではそれは「何のため」なのでしょうか、また「その目的」は何でしょうか。

これまでにご紹介したとおり「機能展開」を行っていくと、次のような機能が考え出されます。

営業とは「自社の商品・システム・サービス(以下、商品等という)でお客様の儲けを大きくする」という機能を持った仕事。

そこで、どうやってこの機能を満たせば よいのかということを考えてみましょう。

以下に例を挙げて見ます。

1.自社の商品等でお客様のコスト削減を図る。
2.自社の商品等でお客様の売り上げ向上を図る。
3.自社の商品等でお客様の現状もしくは将来にわたる問題解決をはかる。
等々。

すると、これこそがお客様が本来求めていることであり、また営業にとってもこの観点でお客様のお役に立てるのなら誇りも感じられようというものです。

 

(2) 目的と手段の不均衡は破たんする!

そこで、この観点で営業という仕事を捉えると、「営業に対する指導や教育」は、また「支援システム」はどのようなものが必要なのかは、先ほどとは打って変わったものになることは推して知るべしでしょう。

以上のように、営業という仕事の機能をどのように捉えるかによって、その機能を満たす手段、上司の指導・教育、営業支援システムがすべて変わってくるわけです。

ところが、営業という仕事を単純に「自社の商品とお客様を結び付ける」ものと捉えているにもかかわらず、手段だけを後者の機能(「自社の商品等でお客様の儲けを大きくする」)から考えられるものに替えようとしている企業が少なからずあることに危惧を感じます。

このままでは、どんなに よい手段を取り入れようとしても根本機能から違っているため、現場で矛盾を起こし絶対に成功することはありません。

なぜなら、前者の機能は「自社の商品とお客様を結び付ける」ことなので、そのための手段は下記の1.から4.でなければならないからです。

1.無料で置いてくる。
2.値引きして買わせる。
3.接待などで取り入って買ってもらう。
4.脅して買わせる。

決して、下記の5.や6.にはならないはずです。

5.お客様の現状の問題解決に役に立つことを理解させて買っていただく。
6.お客様の将来の問題解決にまで役立つことを理解させて買っていただく。

故にこれから述べることは、営業という仕事を後者の機能(「自社の商品等でお客様の儲けを大きくする」)と捉えている企業にしか通用しないことをあらかじめお断りしておきます。

 

(3) 営業はお客様の事業戦略を作れ!

それでは、後者の機能(「自社の商品等でお客様の儲けを大きくする」)を満たし、下記の1.から3.の手段を達成するために、営業は何をする必要が有るのでしょうか。

1.自社の商品等でお客様のコスト削減を図る。
2.自社の商品等でお客様の売り上げ向上を図る。
3.自社の商品等でお客様の現状もしくは将来にわたる問題解決をはかる。

それは、「コスト削減」のために、「売り上げ向上」のために、また「問題解決」のために、「お客様が「何に取り組む必要があるのか」という「課題」をお客様とともに作り上げるほかないのです。

つまり、言葉を変えると「お客様の事業戦略づくりのお手伝い」ということになります。

 

 

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9.目的によって仕事の価値が変わる

お客様はどんな営業と付き合いたいと思っているのでしょうか?

ともかく安くしてくれればよい?

何でも言うことを聞いてくれればよい?

接待に連れてってくれればよい?

確かに、それも一理あります。

しかし、高くても、言うことを聞かなくても、接待をしなくても、売ってくる営業がいます。

はてさて、いったい何が違うのでしょうか?

 

(1) 得意先の活性化を考えろ!

前回まででご理解いただいたことは次の通りです。

1.システムはF(ファンクション:機能)、 I (インプット:入力されるもの)、O(アウトプット:出力されるもの)の3つによって構成されるものであること。

2.システムは最終的に「人」が動かすものであること。

3.システムの構築は、 I やOを先に決める(分析的アプローチ)のではなく、まずFから決める(デザインアプローチ)方が、画期的かつ現実的に行えること。

4.経営もシステムで捉えることができること。

5.「人」に対する教育も経営システム全体をにらんで実施しないと効果が出ないこと。

これらを踏まえて第3編では、営業マンが得意先である卸売店や小売店の活性化(経営指導や課題解決)を図っていくときに、どのように考えていけばよいのかということをシステムで捉えてみたいと思います。

 

(2) 営業は誇りの持てない仕事?

このテーマを考えるに当たって最も重要なことは、「営業とは何をする仕事か」ということです。

この捉えかたの違いで、日々の営業活動が大きく変わり、それに伴って上司の営業マンに対する指導・教育方法や営業活動の支援システムも大きく変わってきます。

例えば、営業とは「自社の商品とお客様を結び付ける仕事」と捉えるとどのようになるでしょうか。

すると、この営業システムの機能(F)は「自社の商品とお客様を結び付ける」となり、インプット( I )は「自社の商品」と「お客様」であり、アウトプット(O)は「自社の商品と結びついたお客様」もしくは「お客様と結びついた自社の商品」ということになります。

ではどうやって「自社の商品とお客様を結び付ける」ことができるのでしょうか。

これは色々考えられます。 以下に例を挙げておきましょう。

1.無料で置いてくる。
2.値引きして買わせる。
3.接待などで取り入って買ってもらう。
4.脅して買わせる。
5.お客様の現状の問題解決に役に立つことを理解させて買っていただく。
6.お客様の将来の問題解決にまで役立つことを理解させて買っていただく。
等々。

1.から4.まではどうも違うなと当然思われることでしょう。

しかし、それは我々が、営業とは少なくとも1.から4.の様な仕事ではないと、すでに理解しているからこそ判断できることなのです。

ということは、少なくとも営業という仕事は、単純に「自社の商品とお客様を結び付ける仕事」ではないということなのです。

もし、このような仕事だとすると、「営業に対する指導や教育」は、また「支援システム」はどうなってしまうかは推して知るべしでしょう。

そして、分け知り顔の上司や先輩がこう言うのです。「5.や6.の意味も確かに有るかもしれないが、所詮営業というのは・・・」。

これでは、営業の誇りを微塵も感じられないどころか、まったくもってお客様を馬鹿にしているのにも程があります。

 

 

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8.仕組みを作って人が動かす

大企業の研修担当者の中には、ミスをしないことを第一に考えている方もいます。

そのため、異常に受講者のアンケート内容を気にします。

よい研修は成果に結びつく研修です。

それはときには受講者の猛反発を食らうこともあります。

そのときにどういう態度をとるのか?

研修担当者の存在価値が問われます。

 

(1) 成果が出たのは結果論

ここではご紹介仕切れませんでしたが、物流システムの改善や管理職の方々への研修、また営業部門以外の方々への研修など他にも様々な取り組みが同時並行的になされ、全体的な成果へと結びついています。

また、この会社の研修事務局の方の研修に対する取り組み姿勢も尋常ではありません。

研修会場は研修効果の出やすいように場所や広さを考え、教室にはいつでも受講生がお茶を飲めるように紅茶やコーヒー、日本茶を用意し、朝は6時に起床して今日一日の打ち合わせを行い、夜は最後の受講生が課題を終わるまで一緒に残っています。

また、私ども研修会社の講師に対しても研修に集中できるように数々の配慮をしてくださるなどです。 この取り組み姿勢には頭が下がる思いです。

ところで、この会社の様々な取り組みが連動し成果に結びついたのは、結果論にすぎないのではないかとお考えの方もいらっしゃると思います。

確かにそのとおりです。

 

(2) システムの勝利

しかし、これを事前にきちんとシステムで捉えておくことができたなら、もっと効果が上がったということです。

そこで最後に、この会社の取り組みをシステムで捉えるとどうなるのかということをまとめさせていただきます。

まず最初に、F(ファンクション:機能)ですが、以前は「小売店との人間関係を強化しながら、商品の供給を行う」というものだったと思われます。

ですから、営業スタイルが、集金であり、商品発送であり、クレーム処理であり、また接待であったわけです。

さらに、当然のことながら、それに付随して、営業支援システムも物流システムもこの機能に合わせて造られていたことになります。

もっというならば、上司の部下に対する指導もこの機能にのっとっていたといえます。

ということは、このシステム上で必要とされる人材像も自ずと明確になってきます。

しかし、現在はこれが「小売店のエンドユーザーへの商品供給力の向上を通じて、小売店そのものの売り上げ・利益を向上させる」というものに変わったと考えられます。

ですから、全社的キャンペーンとして「小売店の活性化のための提案活動」が取り上げられたわけです。

しかも普段の営業活動さえ、小売店の売り上げや利益が向上するような指導がそのメインとなってきているのです。

するとそれに付随して、営業支援システムや物流システムにも変化が起きてくることになります。

また、営業マンに必要とされる能力が、お客様との人間関係を強化する接待能力ではなく、小売店の経営アドバイスができる能力へとこれも変化してきました。

そのため、販売士1級の資格取得などが必要になってきたわけです。

すなわち、このシステム上で必要とされる人材像は、以前のものとは大きく変わったといえます。

そこで、これらの動きに連動する形で、これまでご採用いただいていた私どもの「商談力強化研修」が効果を発揮していったといえます。

ところがもし、インストラクター制度も販売士1級の資格取得もなく、私どもの「商談力強化研修」のみで前記の機能を全うしようとすると 、所期の効果は得られなかったと推測できます。

なぜなら、前記の機能を全うしようとすれば、営業マンのバックボーンとなる知識が必要であり、しかも営業現場での上司や先輩、同僚の協力が不可欠だからです。

しかし、インストラクター制度や販売士1級の資格取得、また営業支援システム、さらには物流システムなど前記の機能を全うするための全社的なトレンドが有機的に影響しあい、システムとして連動したため所期の効果につながったわけです。

まさに、システムの勝利といっても過言ではないでしょう。

 

(3) 人の想いが組織を動かす

但し、ここでご注意いただきたいのは、このシステムを動かしているのは「人」だということです。

この「人」の感情を無視して、仕組みだけ整えたとしても決して成功はしません。

そこで思い出して下さい。

この会社の研修担当課長の「想い」と「動き方」を。

「営業マンに営業の誇りを持たせたい。営業の醍醐味を味わわせたい。営業をやっていて良かったといってもらいたい。

そのためには命も惜しまない。」この想いを胸に、研修採用当初、全受講生一人一人と対話を行ったという事実です。

しかも、実際に2度入院されています。

これなくして、この会社のシステムは動かなかったでしょう。

まさに研修担当課長の「想い」そのものが、このシステムを動かす原動力であったといえます。

さて、私はこの研修担当課長の「想い」をどれだけ汲み取っていたでしょうか。

今、思い出すと恥ずかしい限りです。

いまさらながら痛感しています。

研修会社の講師という仕事の責任の重さと怖さを。

ところで、次回から、営業マンが得意先である卸売店や小売店の活性化(経営指導や課題解決)を図っていくときに、どのように考えていけば良いのかということをシステムで捉えてみたいと思います。

 

 

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7.起きたトルネード旋風

ランチェスター理論ってご存知でしょうか?

少ない戦力でどうやって大勢の敵を倒すのか・・・など、もともとは軍事理論でした。

これが戦後にはマーケティングの世界で活用されています。

織田信長の桶狭間の戦いも同じですね。

そこに、ヒントがあります。

 

(1) ドミノ倒しのように

しかし、4年目からは、営業研修を商談力強化の柱に置きながら、各種研修を展開しています。

また、5年目から販売士(日本商工会議所小売商検定)の資格取得を薦め、そのための研修も行ってきました。

この推進についても多くの抵抗がありましたが、私自身が一級を取得することで上層部の理解を得ることができました。

しかも昨年度は、この一級の合格者を大量に排出することができ、成果につながっているのもうれしいことです。

さらに昨年から、小売店のリニューアル提案を通じて、売り上げの向上を目指すキャンペーンが始まりました。

我々の売り上げを上げるためには、小売店の活性化を図るしか方法がないからです。

提案内容は、小売店の模様替え、増床、支店の増設などです。

このキャンペーンは全社的な取り組みのため、提案活動に必要な小売店の集声調査や動線調査には本部からの応援も有りますし、提案書作成のためのコンピューターシステムも新たに導入されました。

ここにきて、これまでやってきたことが全て有機的に結びつき、花開いた感触を得ています。

インストラクター制度も商談力強化研修も販売士1級の資格取得も小売店活性化キャンペーンもどれ一つが欠け
ても業績向上に結びつかなかったでしょうし、またどれか一つでも成果には結びつかなかったでしょう。

そして何よりもうれしいのは業績向上もさることながら、営業マンの目が輝いてきたことです。

特に、小売店活性化キャンペーンなどは通常の業務をこなしながら、残業してまで提案書の作成を行っています。

これなど以前には考えられなかったことです。

 

(2) 大きな組織が動き出した

もちろん、何の文句も出ないかというとそうではありません。

しかし、文句を言いながらも、本来の営業の有るべき姿が見えてきているのでしょう。

営業部隊全体に士気の向上が見えるのです。

皆が一つの目標に向かって一丸となっている様子が伺えます。

これこそまさに、私が研修の責任者になったときに目指していたものです。

大きな組織が動きはじめました。

組織が大きいだけになかなか動きませんが、逆にいったん動き出せばどんどん加速度がついてきます。

これからの私の役目は、この加速度をさらにつけるために、新しい取り組みを考え実施していくことだと考えています。

そして、次の世代にスムーズにバトンタッチができる体制を作り上げたいと思っています。

以上のように、この会社では業種業界の動きをにらみながら、研修そのものが他のシステムと連動し成果をあげています。

 

 

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