26.全体から部分に落とし込め!

ともすると、組織全体が各部門の寄せ集めになってしまい、無駄な部門や足らない部門が出てくる可能性があります。

これは、全体設計がうまくいっておらず、必要と思われる部門を継ぎ足していったためと思われます。

では、このような状態にならないようにするにはどうすればよいのでしょうか?

 

(1) システムの全体構想を考えよ!

前回は、教育研修会社の例を使って「経営システム」の設計に入っていきました。

概略としては「先の見えない市場で勝ち残っていける人材を育成する」という機能で設計を進めていこうとしています。<別表1>

そこで、このシステムに入る人材としては「市場を創る力が無く、自主的に「何をすれば良いのか」を決めて行動することのできない人」と決めました。<別表2>

さらに、このシステムを「市場創造力および決断力・行動力強化システム」と名づけました。

そこで、今回は、このシステムの大略案を考えることからスタートします。

つまり、おおざっぱにこのシステムの全体構想を考えるということです。

尚、念のために申し添えておきますが、これはあくまでも「経営システム」の設計を行うシミュレーションであり、現実の話ではありません。

あくまでも、「経営システム」設計の手順を理解するための参考としてお読みいただきたいと思います。

 

(2) システムの全体構想を機能分化させよ!

それでは早速、システムの大略案を考えてみることにしましょう。

1.教育研修会社による教育訓練と現場でのOJTの実践ならびに両者のシステム構築によってお手伝いする。
2.省略
3.省略

このシステム大略案は、一つではなくいくつか考え出すことがポイントです。

それでも3つぐらいが妥当かもしれません。

そのためにも、ここまでのすべての過程はもちろんのこと、これからの作業も一人で行うのではなく、何人かのグループで行った方が様々なアイデアが出やすく効果的です。

そして、これをF・ I ・Oでまとめます。

これを「コンポーネント分割」といいます。

いってみれば、機能の細分化のことです。

これを行うことで、分割された機能に基づく「細分化されたシステム」の中身が考えやすくなります。

また、システム全体の整合性がとれているかどうかということのチェックにもつながります。

この整合性がとれていないと、結局はシステムのどこかで支障をきたし、システム全体の動きがぎくしゃくすることになるので、所期の成果を産み出すことができなくなってしまいます。

 

 

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25.すべては「顧客」のために!

あなたの事業の機能を目的的に展開していくと、どんな価値を提供したいのかが見えてきます。

そして、その価値を誰に提供したいのかをが決めると、ほぼ方向性は見えたことになります。

しかも、一時的なものではなく、価値提供の内容や提供先の広がりのヒントも見えています。

つまり、継続的な事業構造の変化を先取りすることが可能になるわけです。

 

(1) あなたの「顧客」は誰かを決める!

それでは、この機能で教育研修会社の今後の経営システムを設計してみることにいたしましょう。

そこでまず、F・I・Oを整理しておきます。

次に、インプットについて見直しをはかります。

なぜなら、このままのインプットではあまりにも直接的すぎて、どんな「人材」をこのシステムに投入すれば良いのかがわからないからです。

故に、機能によって変化させる「人材」とはどんな人材なのかを明確にして行きます。

具体的には、インプットのカバーする範囲を徐々に広げて行きます。 この手法をインプットの上方展開といいます。

ただし便宜上、記述は下方に行います。

 

<別表2>
1.先の見えない市場で勝ち残っていけない人材
2.市場を創る力が無く、決断力と実行力に欠ける人
3.自主的に「何をすれば良いのか」を決めて行動することのできない人
4.言われたことに対する実行能力の高い人
5. 企業に在籍しているすべての人

そこで上方展開したインプットに基づき、このシステムそのもののインプットを決定します。

ここでは2番と3番をドッキングさせて、次の様なインプットとします。

「市場を創る力が無く、自主的に「何をすれば良いのか」を決めて行動することのできない人」

 

(2) 「顧客提供価値」が何かを決める!

そして便宜上、このシステムに名前を付けてみることにしましょう。

すると例えば、「市場創造力および決断力・行動力強化システム」というようなものになると思われます。

ということは、このシステムの中にシミュレーション上の教育研修会社の今後の取り組みの方向性が隠されているということです。

そのうえで次に、このシステムの大略案を考えます。

つまり、おおざっぱにこのシステムの全体構想を考えるということです。

それでは次回からは、この機能に基づくシステム大略案を創るところからスタートさせていただきます。

 

 

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24.あらゆる可能性を模索せよ!

基軸さえ離れなければ、「夢物語」になることはありません。

現在行っていることが必ず包含させれるからです。

現在の大企業も創業当時に、今行っている事業内容をビジョンに掲げていたとすれば「夢物語」と言われたかもしれません。

しかし、すべての出発点は創業当時の事業です。

そこから、大きく離れていないので「夢物語」ではなかったということになります。

 

(1) あなたの会社は何をすることを「目的」としているのか!

では、教育研修会社の事業は「何をする」ことを目的としているのでしょうか。

教育研修会社の「機能」をまず考えてみます。

教育研修会社は、ご受講企業の皆様に対して「研修」を行っています。

では「研修」とは何をすることでしょうか。

例えばこういうものが考えられます。

1.「ご受講生の皆様に、ビジネスマンにとって必要とされる成功確率の高い考え方とやり方を身につけていただくお手伝いをする」

2.「ご受講生に、日常業務を離れて、しかも短期間で、現場で応用できる基本的な考え方とやり方を修得させる」(直接的な表現になって申し訳ありませんが、以後、このような表現とさせていただきます)

他にも考えられるかもしれませんが、概ね以上の2つが教育研修会社の「研修」の機能を表していると思えます。

この2つの内、直接的に機能を表現している2番を「手がかりシステム」とします。

「手がかりシステム」とは、そのシステムが持っている「直接的で基本的な機能」のことです。

この「手がかりシステム」を取っ掛かりにして「機能」を広げて行きます。

 

(2) 究極の「目的」は何かを順序を追って考える!

では、「ご受講生に、日常業務を離れて、しかも短期間で、現場で応用できる基本的な考え方とやり方を修得させる」のは、何のためでしょうか。

また、その目的は何でしょうか。

さらに、言い換えるとどうなるでしょうか。

例えばそれは「ビジネスマンとして、それぞれの役割にふさわしい考え方とやり方を強化する」というようなものが考えられます。

以後、同様に「機能」を広げていくと別表1の様になります。

 

<別表1>
1. 「ご受講生に、日常業務を離れて、しかも短期間で、現場で応用できる基本的な考え方とやり方を修得させる」
2.「ビジネスマンとして、それぞれの役割にふさわしい考え方とやり方を強化する」
3.「それぞれの役割にふさわしい成果を出させる」
4.「新しい考え方とやり方を修得させる」
5.「ビジネスマンとして、成長させ続ける」
6.「市場の変化に対応できる人材を育成する」
7.「先の見えない市場で勝ち残っていける人材を育成する」
8.「どんな市場においても活路を見出していける人材を育成する」
9.「企業の利益に貢献する人材を育成する」
10.「自発的に成長し続ける人材を創る」
11.「さらに多くの成果を出し続けさせる」
12.「企業とそこに働く人々のお役立ちの質と量を高め続ける」
13.「新しい市場を開拓できる企業体質を創る」
14.「そこで働く人々の成長を通して企業の現在と将来の利益を上げ続ける」
15.「そこで働く人々の成長を通して企業を永続的に発展させ続ける」
*.「人材育成を通して、人々を幸せにする」
*.「世の中のすべての人々を幸せにする」

以上が、機能を広げていく一例です。 尚、16番以後は省略させていただきました。

 

(3) 改めて会社の「目的」を意思決定せよ!

この機能を広げていくときに注意しないといけないのは、あくまでも現在の制約条件(人、物、金、時間、情報等)は無視するということです。

さもないと、制約条件に縛られて機能が広がらなくなってしまいます。

制約条件を考えるのは、機能を広げた後、どの機能でシステムを設計をするのかを決めるとき、また決めた後のシステムの設計の段階で考慮に入れれば良いのです。

そこで次に、教育研修会社の場合だと、今後どの機能で経営システムを設計するのかを決めます。

これはまさに経営者の意思決定の問題です。

尚、ここではあくまでもシミュレーションとして意思決定してみたいと思います。

そこで、今後の教育研修会社の機能として、7番を選ぶことにいたします。

7番は「先の見えない市場で勝ち残っていける人材を育成する」というものでした。

 

 

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23.夢を語れ!しかし、現実を直視せよ!

ビジョンというと「夢物語」と考えて、実利主義でないという観点から嫌う方もいます。

しかし、目指す姿を示さずして何が経営でしょうか?

そこで、「夢物語」に終わらない実利主義にもかなったビジョンさえ作れればよいということになります。
では、いったいどうすればよいのでしょうか?

 

(1) 機能からビジョンを考える理由!

前回は、将来の経営システムを設計する場合、まず、ビジョン(将来像)から決定するのではなく、ビジョンを達成するための「機能(役割や責任)」から決定する方が現実的であるというお話をさせていただきました。

その理由としては以下のものが考えられます。

1.ビジョンから決定しようとすると、そのビジョンがどんなに素晴らしいものであったとしても、そのビジョンが創られた背景が不明瞭であり、社員を本気にさせきれない。

2.また、ビジョンそのもが、現実の業務内容からかけ離れ、社員にとっては夢物語としか思えないものとなる。

3.1.と2.を整理すると、結局、そのビジョンは社員から見ると「社長の戯言」としか受け取れないということになる。

4.逆に、現実をあまり考慮に入れすぎると、今度は、過去の延長線上の発想から抜けきれず、ビジョンというにはおこがましく、経営者の想いも感じられず、また社員に夢も希望も与えられないものになってしまう。
以上のように、ビジョンから決定するには、あまりにも難しい要素が有りすぎるということです。

 

(2) 経営システムの「機能」から決定する!

これは、前回でも述べたとおり、経営システムのアウトプットから決定しようとすることに無理があるのです。

では、現実を直視しながらも、過去の延長線ではなく、社員に夢や希望を与え、企業に革新を起こす様なビジョンをどうやって創り上げれば良いのでしょうか。

それは、現状の機能(役割や責任)をベースにして、その機能を広げていけば良いのです。

すなわち、経営システムの「機能」の決定からまず行うということです。

そのうえで、広げた「機能」によってアウトプットされる「企業の姿」をビジョンとすれば、現状を踏まえながらも想いのこもった、しかも夢や希望の持てるものが創り上げられるということです。

それでは、実例を挙げながら説明をさせていただくことにいたします。

読者すべての方にご理解いただけるようにするために、今回は僭越ながら教育研修会社を例に挙げることをお許し下さい。

 

 

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22.会社の機能を目的的に考えよ!

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず(方丈記)」というように、まさに企業も変遷を繰り返します。

立ち止まらず常に前進するためにも、企業の進む方向を模索し続ける必要があるでしょう。

 

(1) 機能を満たす手段がビジョンのヒント!

すると、機能を広げていく過程で次のようなものが出てくる可能性が推察されます。

「複数の人に同時に、動画と音声によって様々な情報を提供する」

すると、この機能を満たすものの一つとしてTVが考えられるということです。

すなわち、映画産業をシステムで捉えると「映画」そのものはこのシステムの手段です。

この手段「映画」から「TV」というものを連想するのは、「TV」というものが生まれたばかりの頃にはかなり難しいものがあります。

しかも、「TV」というものがあってこそ、初めて連想できるわけです。

しかし、目指すべき機能が明らかになっていれば、それを達成する手段はあとからでも考えることができます。

そしてまた、そのような機能を満たすものを探すことも可能となるわけです。

 

(2) 経営トップは会社の機能を明確にせよ!

故に、経営トップは、まず自社が現在担っている機能(役割や責任)を手がかりにして、目指すべき将来の機能(役割や責任)を明確にし、そのうえでその機能が満たされている状態(姿)をビジョンとして表現すれば良いということです。

すると、その過程において経営トップの想いも固まってきます。

しかも、その機能(役割や責任)を満たすためには、さらに細分化した機能(役割や責任)が必要となりますが、その細分化した機能(役割や責任)を満たす部署が、今後必要とされる部署ということになり、新たな「組織体制」の構築さえも可能となってきます。

さらに、経営トップの「目指すべき将来の機能(役割や責任)」と「ビジョン」を受けた各役員は、担当部門でその機能(役割や責任)のどの部分を受け持つのかを決定し自部門の機能(役割や責任)を明らかにすることによって、トップからの連鎖を保ちつつ、自部門のビジョンも明確にしやすくなります。

そのうえ、将来の「組織体制」さえも構築しやすくなるというメリットも生じます。

それでは、次回からはこの手法を使った場合とそうでない場合で、どのようになるのかということを実例でご紹介したいと思います。

 

 

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21.機能展開でビジョンを作れ!

レコードからCDに代わったときにレコード針の会社は苦境に立たされました。

そしてまた、インターネットの発達によりダウンロードが主流になるとCDが売れなくなっていきました。

経営者は常に闘っている市場のゲームのルールが変わることを見越して経営を行っていく必要があります。

 

(1) ビジョンは機能によって変化する!

それは、「ビジョン」を静態的な表現にとどめないということです。

すなわち、ゴールを示す表現を行う前に、そのゴールは「企業がどのような役割や責任を担っているとそうなるのか」という「動態(機能)的な表現」を考える必要があるということです。

言い換えれば、一般的に言われている「ビジョン」というのは、経営システムのアウトプット(O)であり、アウトプットは経営システムの持つファンクション(F:機能)によって実現されるため、まずファンクションを明らかにする必要があるということです。

つまり、経営システムのアウトプットである「ビジョン」を「ファンクション」が決まる前に決めてしまうというのはそれ自体無理があるということです。

しかもその弊害については、これまでに述べた通りです。

(抜粋 : I やOは現実的なものしか思い付きにくく、しかも、画期的なものを思い付いたとしても、今度はそれを達成するためのFが現実離れし過ぎてしまうきらいが出てきます。)

故に、先に決めなければならないのは、経営システムのアウトプットである「ビジョン」という「目指すべき将来の姿(像)」ではなく、経営システムのファンクションである「目指すべき将来の機能(役割や責任)」ということになります。

するとこれは、経営システムの「現状の機能(役割や責任)」をベースにして、その機能を発展的に広げていくという「デザインアプローチ」の手法によって作成することが可能になります。

具体的には、これまでにご紹介した「機能展開」という手法を使います。 この手法を用いることによって、次のことが可能になります。

 

(2) 衰退産業を成長産業に変える!

マーケティングの世界で有名な論文に、セオドア・レビットという学者が書いた「マーケティング近視眼(邦訳)」というものがあります。

その中の一文に次のようなくだりがあります。

要約してご紹介させていただきます。

「何故、映画産業は衰退し、TV産業に取って代わられたのか。しかも、何故自ら、当時産声を上げたばかりのTV産業に参入しなかったのか。」

「それは、自らの事業を娯楽産業と捉えなかったからである。」

「また、馬の鞭を作る会社は、何故衰退し、鉄道事業に取って代わられたのか。」

「それは、自らの事業を輸送手段の動力源を作る事業と捉えなかったからである。」

「さらに、貨物輸送を行う鉄道会社は、何故、トラック会社に貨物を取られてしまったのか。」

「それは、自らの事業を運送事業と捉えなかったからである。」

 

(3) 処方箋は機能展開にあり!

そしてまた、レビット氏はこの論文の中で次のように述べています。

「これはあくまでも提言であり、処方箋ではない。」

これは、どういうことかというと、例えば、映画産業は娯楽産業と捉えればよかった、という結果を述べているに過ぎず、どうすればそのように考えることができたのかという手法を提示するものではない、ということです。

そこで、先に述べた「機能展開」という手法を用いれば、映画産業を娯楽産業と捉えるための処方箋となりうるということです。

すなわち、映画産業の機能を直接的に考えてみると、・・・

「大型スクリーンに映し出した動くフィルムを特定の場所で複数の人に見せる」
・・・というようなものになります。

これを「機能展開」という手法を使って発展的にその機能を広げていきます。

概略を申し上げれば・・・

「それは何のためか」
「その目的は何か」
「それによって何を目指そうとしているのか」

・・・というように疑問を投げかけながら、徐々に機能を広げていくわけです。

 

 

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20.ビジョンの作り方が分からない!

経営者である以上、曲がりなりにも会社の行く末に想いを馳せることもあるでしょう。

しかし、それがなかなか社員に伝わらずもどかしい思いをしている経営者の方も多いと推察いたします。

では、いったいどうすればその想いをビジョンという形に変えることができるのでしょうか?

 

(1) ソフトとハードを連携させる!

さて、前回の第5編では、経営システムの設計についての概要をお話させていただきました。

その概略としては、企業トップがビジョンを示し、その方向に向かって各階層ごとにビジョンと戦略を連鎖させていくことである、ということでした。

そしてさらに、それらの「ビジョンと戦略」を実現させていくにふさわしい「組織体制」が必要だということも最後に述べさせていただきました。

すなわち、「ビジョンと戦略」の連鎖という「想い」の部分とそれを実現させていく「組織体制」という「動き」の部分の両方が必要不可欠だということです。

言い換えれば、コンピューターの「ソフト」と「ハード」の関係と同じようなものということです。

つまり、どちらか一方だけでは何の役にも立たないと言えるわけです。

それでは、どうすればこの両方を満足させる「経営システム」が構築できるのでしょうか。

以下、この点についてお話を進めさせていただきたいと思います。

 

(2) いきなりビジョンを作れと言われても!

そこでまず重要なのは、いかにして「想いのこもったビジョン」を作成するのかということです。

「ビジョン」というのは、「目指すべき将来の姿(像)」のことです。 すなわち、静態的なものであり、その企業の当面のゴールでもあります。

多くの経営トップは、抽象的にせよ、漠然としたものであるにせよ、何らかの「ビジョン」はお持ちのことと思います。

しかし、それを示したところで現状とは全く異なるし、部下も理解できないのではないかというご心配もあろうかと思います。

また部下のほうでも、そのような「ビジョン」を示されても、ピンと来ないというのも事実です。

さらに残念ながら、経営トップ自身が、混迷する市場の中で、「ビジョン」そのものを見失っているということもあります。

それではどうすれば、経営トップが自信を持って明示でき、部下もその達成のために何を行えば良いのかという戦略が創りやすい「ビジョン」を作成することができるのでしょうか。

 

 

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19.業績を上げる組織を作れ!

 

ビジョンによって、現場の一人ひとりが自分の頭で判断できるようになります。

すると、経営のスピードが格段に速くなります。

そのためにも、どのような組織体制にすればよいのかが重要です。

しかも、当面の業績責任も忘れてはいけません。

部分を押さえながらも全体を最適化させるために、ビジョン実現を目指す組織体制を築きましょう。

 

(1) ビジョンの連鎖で主人公体制を確立せよ!

そしてさらに、これを受けて部門メンバーが、個人の「企業におけるビジョン」と「課題(戦略的課題)」を決めます。

このようにして決めていくと、トップから現場までの戦略が連鎖し、企業としては一体感を保つことができます。

しかも、それぞれの「ビジョン」がやる気(意欲)を引き出し、さらに、自分で決めた課題に対しては自主的に取り組むこととなり、その結果、社員全体の人的能力(価値創造力)を高めることにつながってきます。

これこそまさに、現場主導型経営で狙っている効果でもあります。

すると、ビジョン実現に向けて全社一丸となり、社員一人一人の主人公体制も確立することができるわけです。

 

(2) 当面の業績責任を果たせ!

しかし、ここで経営トップや部門長なら疑問に思うことがあるでしょう。

それは「今年の業績はどうするのか」という疑問です。

夢だけでは当然、企業は成り立って行きません。

そこで、課題(戦略的課題)を作り上げていくときに、「当面の業績責任」も当然加味していくわけです。

つまり、課題(戦略的課題)としては、「ビジョン」達成の方向と「当面の業績責任」達成の方向が両立したものが望ましいということです。

そしてさらに、企業における「個人のビジョン」も同様に達成されるものであれば言うことは有りません。

では、このようにして作成した課題(戦略的課題)を達成していくためには、どのような組織体制が必要となってくるのでしょうか。

 

(3) 組織体制はビジョンに従う!

ここで、はじめて「組織体制」について考えていくことになります。

これは、トップはトップマネジメントの観点で考え、部門長は部門マネジメントの観点で考え、個人はセルフマネジメントの観点で、各レベルに応じて考えていくことになります。

もちろん、「当面の業績責任」を達成するためには、現状の組織体制を是として考えなければならないことは当然です。

しかし、「ビジョン」作成の段階で現状の組織体制を是として発想すると、あまりにも現実的なものしか考えられなくなり、「ビジョン」とは呼べないものにしかなり得ません。

しかも、「是非実現したい」という想いも希薄になり、本気になって取り組もうとはしません。

すなわち、「絵に描いた餅」となってしまうわけです。

それでは、次回からは具体的にどうやって「想い」のこもった「ビジョン」を作り上げていったらよいのか、というテーマに入っていくことにいたします。

 

 

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18.ビジョンをブレイクダウンせよ!

企業ビジョンは、それだけでは動きを示すものではありません。

そこで、戦略に落としこんで動きを示す必要があります。

そのうえで、企業全体から部門という各パーツへ落とし込んでいく必要があります。

それが、部門長の役割でもあるわけです。

 

(1) ビジョンを戦略に落とせ!

そこで、次に行わなければならないことは、その状態を創るために「何」をしなければならないのかということです。

ここでいう「何」とは、具体的な行動レベルではなく、課題(戦略的課題)のことです。

なぜなら、いきなり具体的な行動を考えると、今やっていることの延長線にしかすぎず、しかもできそうなことしか出てこないからです。

すると、その行動を取り続けても「ビジョン」を達成することは難しくなります。

しかも結局、オペレーションのみを示すことになり、それが現場に降りていったときには、「そのとおり、どのように実行するのか」ということを考えさえすればよいことになります。

これでは結局、トップ主導型と何ら変わりはありません。

 

(2) 企業ビジョンから部門ビジョンへ連鎖させよ!

そこで、「ビジョン」達成のために、「何」を行わなければならないのかという「課題(戦略的課題)」が必要になるわけです。

このとき、この課題(戦略的課題)には、「ビジョン」実現に向けての動態的な取り組みの方向性が示されていなけれなりません。

言い方を変えれば、「ビジョン」を達成したときには、その企業がどんな役割や責任を果たしているのかという動きを示す内容が必要だということです。

これが示されると、それを受けて部門長が部門の「ビジョン」を作成します。

つまり、企業が企業の課題(戦略的課題)を果たしているときに、自部門をどんな姿にしたいのかということを決めるわけです。

そのうえで、自部門の「ビジョン」達成のために「何」をしなければいけないのかという課題(戦略的課題)を決めていきます。

 

 

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17.ビジョンを示して現場を巻き込め!

すべての企業がビジョンを必要としているわけではありません。

しかし、どんな企業でもいつかは必要になるときが来ます。

そのとき、組織がバラバラに動くのではなく、まとまって有機的に連携しながら動くためにもビジョンは重要です。

しかも、そのビジョンが、個人ビジョンによって包含されると大きな力を発揮します。

 

(1) 企業の成長段階とトップの考え方で変化する!

つまり、このシステムは市場の変化に合わせた柔軟性と機動力が要求されます。

故に、トップの意向にただ黙って従うのではなく、トップの意向に沿いながらも現場レベルでの戦略的判断が必要になってくるわけです。

さもないと、市場の変化についていけず、お客様から見離されてしまうことになります。

このとき必要となる研修は、トップの意向を汲みながらも、自部門や自分自身の戦略を構築するための考え方とやり方ということになるわけです。

但し、ここで注意しなければならないことがあります。

それは、企業の成長段階とトップの考え方です。

企業の成長段階とは、創業期にはかなり強烈なトップ主導が要求され、人材の充実とともに現場主導に移行していくという流れのことです。

ですから、創業して間も無い企業とかなり年数を経た企業では「経営システム」が異なるわけです。

また、トップの考え方とは、嗜好の違いです。

つまり、極端な言い方をすれば、昔の軍隊方式を好む経営者に現場主導型は合わないということです。

これらの注意点を踏まえながらも、これからの多くの企業が現場主導型経営に移行せざるを得ないということを前提にして「経営システム」の設計について話しを進めさせていただきたいと思います。

 

(2) 個人ビジョンで企業ビジョンを包含せよ!

まず、現場主導といっても何でもかんでも現場に任せてしまうわけではありません。

当然、企業ですからトップの意向が重要になります。

但し、ここでいうトップの意向とは、その企業が将来どんな企業になりたいのかという「将来の有るべき姿(ビジョン)」のことをさします。

ビジョン無き企業は、社員に夢も希望も与えることができません。

しかし、若い社員が多ければ、企業のビジョンよりも個人の給与の方が動機づけになることと思います。

とはいっても、いつまでもそれが続くわけではありません。

しかも、ある程度の生活基盤ができあがれば、その後、人間の「やる気」を引き出し続けるのは自己実現欲求の他無くなってきます。

つまり、どんな自分になりたいのかという個人ビジョンがそれを支えます。

この個人ビジョンが企業の中で満たされなければ、仕事における「やる気」も出なくなってしまいます。

 

(3) 企業ビジョンなくして成功なし!

ですから、企業においても「ビジョン」がなければ、社員個人を引き止めておくことは難しいということです。

さらに、現場主導で自部門や自分自身の戦略を構築していくときに、企業の「ビジョン」が大きな方向性を示すことになり、 トップから現場までの戦略に一本の筋を通すことになります。

すると、大きな方向に狂いが出ることなく、現場での判断が戦略的にできるようになり、現場主導型の効果が大きくなってきます。

そこで、企業トップがまず行わなければならないことは、企業の「ビジョン」を示すことと言えます。

但し、「ビジョン」とは将来の有るべき姿(像)のことです。

つまり、静態的な状態を指します。

 

 

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