すべての企業がビジョンを必要としているわけではありません。
しかし、どんな企業でもいつかは必要になるときが来ます。
そのとき、組織がバラバラに動くのではなく、まとまって有機的に連携しながら動くためにもビジョンは重要です。
しかも、そのビジョンが、個人ビジョンによって包含されると大きな力を発揮します。
(1) 企業の成長段階とトップの考え方で変化する!
つまり、このシステムは市場の変化に合わせた柔軟性と機動力が要求されます。
故に、トップの意向にただ黙って従うのではなく、トップの意向に沿いながらも現場レベルでの戦略的判断が必要になってくるわけです。
さもないと、市場の変化についていけず、お客様から見離されてしまうことになります。
このとき必要となる研修は、トップの意向を汲みながらも、自部門や自分自身の戦略を構築するための考え方とやり方ということになるわけです。
但し、ここで注意しなければならないことがあります。
それは、企業の成長段階とトップの考え方です。
企業の成長段階とは、創業期にはかなり強烈なトップ主導が要求され、人材の充実とともに現場主導に移行していくという流れのことです。
ですから、創業して間も無い企業とかなり年数を経た企業では「経営システム」が異なるわけです。
また、トップの考え方とは、嗜好の違いです。
つまり、極端な言い方をすれば、昔の軍隊方式を好む経営者に現場主導型は合わないということです。
これらの注意点を踏まえながらも、これからの多くの企業が現場主導型経営に移行せざるを得ないということを前提にして「経営システム」の設計について話しを進めさせていただきたいと思います。
(2) 個人ビジョンで企業ビジョンを包含せよ!
まず、現場主導といっても何でもかんでも現場に任せてしまうわけではありません。
当然、企業ですからトップの意向が重要になります。
但し、ここでいうトップの意向とは、その企業が将来どんな企業になりたいのかという「将来の有るべき姿(ビジョン)」のことをさします。
ビジョン無き企業は、社員に夢も希望も与えることができません。
しかし、若い社員が多ければ、企業のビジョンよりも個人の給与の方が動機づけになることと思います。
とはいっても、いつまでもそれが続くわけではありません。
しかも、ある程度の生活基盤ができあがれば、その後、人間の「やる気」を引き出し続けるのは自己実現欲求の他無くなってきます。
つまり、どんな自分になりたいのかという個人ビジョンがそれを支えます。
この個人ビジョンが企業の中で満たされなければ、仕事における「やる気」も出なくなってしまいます。
(3) 企業ビジョンなくして成功なし!
ですから、企業においても「ビジョン」がなければ、社員個人を引き止めておくことは難しいということです。
さらに、現場主導で自部門や自分自身の戦略を構築していくときに、企業の「ビジョン」が大きな方向性を示すことになり、 トップから現場までの戦略に一本の筋を通すことになります。
すると、大きな方向に狂いが出ることなく、現場での判断が戦略的にできるようになり、現場主導型の効果が大きくなってきます。
そこで、企業トップがまず行わなければならないことは、企業の「ビジョン」を示すことと言えます。
但し、「ビジョン」とは将来の有るべき姿(像)のことです。
つまり、静態的な状態を指します。