経営者である以上、曲がりなりにも会社の行く末に想いを馳せることもあるでしょう。
しかし、それがなかなか社員に伝わらずもどかしい思いをしている経営者の方も多いと推察いたします。
では、いったいどうすればその想いをビジョンという形に変えることができるのでしょうか?
(1) ソフトとハードを連携させる!
さて、前回の第5編では、経営システムの設計についての概要をお話させていただきました。
その概略としては、企業トップがビジョンを示し、その方向に向かって各階層ごとにビジョンと戦略を連鎖させていくことである、ということでした。
そしてさらに、それらの「ビジョンと戦略」を実現させていくにふさわしい「組織体制」が必要だということも最後に述べさせていただきました。
すなわち、「ビジョンと戦略」の連鎖という「想い」の部分とそれを実現させていく「組織体制」という「動き」の部分の両方が必要不可欠だということです。
言い換えれば、コンピューターの「ソフト」と「ハード」の関係と同じようなものということです。
つまり、どちらか一方だけでは何の役にも立たないと言えるわけです。
それでは、どうすればこの両方を満足させる「経営システム」が構築できるのでしょうか。
以下、この点についてお話を進めさせていただきたいと思います。
(2) いきなりビジョンを作れと言われても!
そこでまず重要なのは、いかにして「想いのこもったビジョン」を作成するのかということです。
「ビジョン」というのは、「目指すべき将来の姿(像)」のことです。 すなわち、静態的なものであり、その企業の当面のゴールでもあります。
多くの経営トップは、抽象的にせよ、漠然としたものであるにせよ、何らかの「ビジョン」はお持ちのことと思います。
しかし、それを示したところで現状とは全く異なるし、部下も理解できないのではないかというご心配もあろうかと思います。
また部下のほうでも、そのような「ビジョン」を示されても、ピンと来ないというのも事実です。
さらに残念ながら、経営トップ自身が、混迷する市場の中で、「ビジョン」そのものを見失っているということもあります。
それではどうすれば、経営トップが自信を持って明示でき、部下もその達成のために何を行えば良いのかという戦略が創りやすい「ビジョン」を作成することができるのでしょうか。