ビジョンによって、現場の一人ひとりが自分の頭で判断できるようになります。
すると、経営のスピードが格段に速くなります。
そのためにも、どのような組織体制にすればよいのかが重要です。
しかも、当面の業績責任も忘れてはいけません。
部分を押さえながらも全体を最適化させるために、ビジョン実現を目指す組織体制を築きましょう。
(1) ビジョンの連鎖で主人公体制を確立せよ!
そしてさらに、これを受けて部門メンバーが、個人の「企業におけるビジョン」と「課題(戦略的課題)」を決めます。
このようにして決めていくと、トップから現場までの戦略が連鎖し、企業としては一体感を保つことができます。
しかも、それぞれの「ビジョン」がやる気(意欲)を引き出し、さらに、自分で決めた課題に対しては自主的に取り組むこととなり、その結果、社員全体の人的能力(価値創造力)を高めることにつながってきます。
これこそまさに、現場主導型経営で狙っている効果でもあります。
すると、ビジョン実現に向けて全社一丸となり、社員一人一人の主人公体制も確立することができるわけです。
(2) 当面の業績責任を果たせ!
しかし、ここで経営トップや部門長なら疑問に思うことがあるでしょう。
それは「今年の業績はどうするのか」という疑問です。
夢だけでは当然、企業は成り立って行きません。
そこで、課題(戦略的課題)を作り上げていくときに、「当面の業績責任」も当然加味していくわけです。
つまり、課題(戦略的課題)としては、「ビジョン」達成の方向と「当面の業績責任」達成の方向が両立したものが望ましいということです。
そしてさらに、企業における「個人のビジョン」も同様に達成されるものであれば言うことは有りません。
では、このようにして作成した課題(戦略的課題)を達成していくためには、どのような組織体制が必要となってくるのでしょうか。
(3) 組織体制はビジョンに従う!
ここで、はじめて「組織体制」について考えていくことになります。
これは、トップはトップマネジメントの観点で考え、部門長は部門マネジメントの観点で考え、個人はセルフマネジメントの観点で、各レベルに応じて考えていくことになります。
もちろん、「当面の業績責任」を達成するためには、現状の組織体制を是として考えなければならないことは当然です。
しかし、「ビジョン」作成の段階で現状の組織体制を是として発想すると、あまりにも現実的なものしか考えられなくなり、「ビジョン」とは呼べないものにしかなり得ません。
しかも、「是非実現したい」という想いも希薄になり、本気になって取り組もうとはしません。
すなわち、「絵に描いた餅」となってしまうわけです。
それでは、次回からは具体的にどうやって「想い」のこもった「ビジョン」を作り上げていったらよいのか、というテーマに入っていくことにいたします。