コスト削減は乾いたぞうきんを絞るようなものです。
確かに必要なことではありますが、それだけでは収入は増えません。
いかにして収入を増やすか?
それが課題です。
はてさて、いったいどのようにすればよいのでしょうか?
(1) システムとは
システムという言葉を聞くと、皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか。
多分、多くの方が「無機的」だとか「機械的」または「コンピューターの様なもの」といった血の通わない、非人間的なものを思い浮かべるのではないでしょうか。
確かに、システムという言葉には、そんな冷たいイメージがつきまとうのも仕方のないことかもしれません。
なぜなら、これまで物事をシステム的に捉えることは、効率の追求のために必要だったからです。
例えば、テイラーの提唱した科学的管理法では作業手順を細分化して単純化し、人間をロボットの様に同じ事を繰り返させることで熟練を早め、いかに生産性を高めるのかというようなことが研究されてきました。
(2) システムの限界
そのためには、一切の無駄を排除したデジタル思考が要求されました。
するとそこには、人間の下す判断のような、時には情が絡んだようなあいまいなものが入る余地は全くなかったわけです。
ところが、効率を徹底的に追求していくと行き着く所があります。
それは、「もうこれ以上は効率的にはならない」という限界点です。
しかし、産業界における発見、発明はまだまだこれからも続くでしょうから、完全に効率化がストップするわけではないと思います。
それでも、効率化を考えるために費やすコストと効率化の結果得られるメリットを比較してみると、「労多くして益少なし」といった感が否めません。
(3) 付加価値の向上へ
では何故、そのようなことになってしまったのでしょうか。
それは、これまでの多くのシステム思考の背景にあった考え方が、コストをいかに少なくするかという「コストミニマム」を追求する思考だったからです。
この考え方では、一切のコストをゼロにすることはできないため、いつか必ず限界が来る運命だったのです。
しかも、産業界が大きく発展している時期には放っておいても売上高や産出高は大きくなっていきます。
そのため、コストミニマムをいかに実現するかということが、ライバルとの大きな差別化であり、競争力を生み出す源だったわけです。
そこで、QCを始めとしてTQCやTQMまたBPRなどが一世を風靡しました。
しかしここに来て、売上高や産出高は放っておいても大きくはならなくなってきました。
すると、効率化のコストメリットが幾何級数的に小さくなってしまったわけです。
そこで今後、我々が取り組まなければならないことは「コストミニマムの追求」ではなく、売上高や産出高そのものの向上、つまり「付加価値の向上」ということになります。
この「付加価値の向上」を目指したシステムをいかにして構築するか、またそのシステムをいかにしてオペレーションするかが今後問われることになります。