各部門のビジョン等は部門長が作るべきです。
しかし、それが会社全体のビジョン等と連鎖していないと意味がありません。
そのためには、しっかりと会社の方向性を各部門長に知らしめる必要があります。
では、どうすれば会社全体の方向性と連鎖した部門ビジョンを作らせることができるのでしょうか?
(1) 会社の目的から「ビジョン」及び「戦略」を考えよ!
さてそれでは、ここまでのところを少し整理させていただきます。
まず、教育研修会社が今後目指す事業は何でしょうか。
「研修」をキーワードにして「機能展開」をした結果、出てきたキーワードは「人材育成」でした。<別表1>
ということは、「人材育成を通して社会に貢献する」というようなものが考えられます。
すると将来的には、顧客は企業以外も考えられます。
またその手法も、研修以外のものも考えられるということです。
しかし、いきなりそのようにはならないでしょう。
そこで、当面目指すべきものが必要になります。
それが言ってみれば「ビジョン」ということになるわけです。
では、教育研修会社の「ビジョン」はどのようなものになるでしょうか。
それは例えば、「市場創造力と実践力強化指導でナンバー1となる」というものが考えられます。
そして、そのための戦略(方針)としては、「教育訓練とOJTのドッキング並びにそのシステム構築を行う」となるわけです。
ここまででご注意いただきたいのは、ここで参考例として挙げた「システム大略案」「目指すべき事業」「ビジョン」「戦略(方針)」の中身の良し悪しを問わないでいただきたいということです。
あくまでもご理解いただきたいのは、「経営システム設計の手順」だということを忘れないでください。
(2) ビジョンを実現するプロセスを考えよ!
そのうえで、さらに話しを前に進めさせていただきます。
そこで、ここまでのところをもう少し詳細にすると次のようになります。
まず、教育研修会社の「目指す事業」ですが、これは一つだけを例としてあげました。
しかし、観点を3つに分けて考えることもできます。
つまり、「大切にしたい価値観」「重点の置きどころ」「作り上げたい状況」の観点で3つに分けて表現すると、もっと具体的でわかりやすくなります。
さらに、今回はこのシステムのインプットを「市場を創る力が無く、自主的に「何をすれば良いのか」を決めて行動することのできない人」としました。
しかし、そういう人をどうやってみつけるのかという問題が残ります。
つまり、「販売」をどうするのかということです。
(3) プロセスを押さえて個別戦略に落とし込め!
これは、このシステムの「機能」を「先の見えない市場で勝ち残っていける人材を育成する」とおいたまま、「インプット」を変えなければいけません。
そこで「インプットの上方展開<別表2>」を続けていくと「すべての企業」が出てきます。
もちろん、ある程度限定を加えたものにブレイクダウンする必要はあります。
そのうえで、これを「インプット」にして、そこから「市場を創る力が無く、自主的に「何をすれば良いのか」を決めて行動することのできない人」を導き出すまでのプロセスを「システム大略案」として考えていくと「販売戦略(方針)」が明らかになってきます。
つまり、例えば「見込みとなる顧客企業発見システム」「受注システム」「教育対象者発見システム」などがそのプロセスの中身となってきます。
以上のプロセスを通して、その企業の「目指す事業」「ビジョン」「戦略(方針)」が大枠のところで決まってきます。