目の前に部下がいないことが常態化したときには、どんな評価制度が必要になるでしょうか?
このとき、評価対象とできるのは、「成果(業績)」以外には考えられません。
なぜなら、出した結果は目に見えるからです。
しかし、「成果(業績)」を出すためには手段を選ばず、ではお話になりません。
なので、そのプロセスを評価する必要が出てきます。
言い換えれば、どんな「行動」をとって、その「成果(業績)」を挙げるのか、ということです。
つまり、「成果(業績)」と「行動」の両方を評価対象とすべきです。
ただし、部下の「行動」を上司が常に見ることはできません。
日報や週報、月報などを通じて把握する必要があります。
また、中間面談時での部下からのアピールも重要な判断基準でしょう。
その際に、プロセスである「行動」も目標設定時に定量化しておいて、評価しやすいようにしておく必要があります。
声の大きい部下の評価が高くなることのないようにするためです。
ちなみに、ここで言う「成果(業績)」は、個人や部門で自主的に決めるものではありません。
個人の「成果(業績)」は部門長が決め、部門長の「成果(業績)」は会社が決めます。
なぜなら、「成果主義」の評価制度が失敗した理由が、「成果(業績)」を個人や部門長に自分の出すべき「成果(業績)」を自分で決めさせたことにあるからです。
すると、高い評価を得るために、どうしても低い「成果(業績)」を自分の目標としてしまいがちになります。
そうなると、会社の業績は落ち、倒産の憂き目にさえ会いかねなくなってしまいます。
だからこそ、自分の出すべき「成果(業績)」を自分で決めさせてはならないのです。
ちなみに、ここで言う「成果(業績)」は必ずしも「売上」ではありません。
管理間接部門であっても、出すべき「成果(業績)」はあります。
簡単に言えば、「効果性」や「効率性」を定量化すれば良いだけのことです。
そうは言っても、「成果(業績)」を自分で決めないとすると、トップダウンの押し付けと感じる方もいらっしゃるでしょう。
私はその方に問いたい。
「押し付け」のどこが悪いのか?
言い換えると、会社が倒産するのと、社員の自由意思決定権を奪うのと、どちらを選ぶのか?
会社が倒産しても良いという方は、社員の自由意思決定権を尊重すれば良いでしょう。
しかし、私はそれをお勧めしません。
嫌なら辞めればいいだけです。
会社は慈善事業ではないからです。
その代わりに、会社としては「何としてでも会社の業績を上げ続けたい」と社員が思うような施策をとる必要があります。
それが、会社の理念であり、長期的なビジョンです。
社員はそれに惚れて、社員であり続けます。
このときには、会社が決めた「成果(業績)」であっても、押し付けと感じることはありません。
逆に、自分への期待と感じることになります。
甲子園出場の常連校である野球部に入部する高校生か、課された練習メニューを押し付けではなく、レギュラー獲得のための自分への期待と捉えるように。
では、社員が自分で決められるところは無いのか?
そんなことはありません。
部門長や社員に課された「成果(業績)」を挙げるために、どんな「行動」をとるのか?
そこは、自分で考えることができます。
というより、自分で考えてもらいます。
そして、当然のことながら、その「行動」をとったかどうかを評価対象にするわけです。
ちなみに、どんな「行動」をとるのかということは、前述した通り極力定量化してもらいます。
さもないと、評価のための測定ができにくいからです。
このようにして、これからのリモートワーク時代は、「成果(業績)」と「行動」という二つの評価項目で設定していくことになります。
ちなみに、未だに「情意考課」と「能力考課」を用いている企業もありますが、このままでは使えません。
特に、潜在的なものまで評価していたり、評価項目の詳細を部下に見せていなかったり、普段からこの評価項目を上司や部下が意識していない場合には、リモートワーク時代の評価制度としては、かなり不十分です。
見直しをお勧めします。
ちなみに、クラウドシステムは必須です。