それでは、交渉にも流れがあります。
そこで、その序盤・中盤・終盤でどのようなことに
気を付ければよいのか、
という解説に入っていくことにいたします。
交渉の序盤で注意すべきことは、まず素直に相手の言うことを
聴くということです。
ただし、すべてを受け入れろということではありません。
相手が何を言わんとしているのかを、
単に耳で聞くのではなく、
心で聴くということです。
さもないと、あなたにとって有利になる条件を提示
してくれているのに全く気が付かないことにも
なりかねません。
陥りやすいのは、決めつけですね。
あの人は東大出身だ。
東大出身者は理論的だ。
だからあの人には理詰めが成功する。
あの人の父親が社長をしている。
だから、若いけど地位が高いはずだ。
あの人はいつも正直だ。
そんなあの人が悪いことなどするはずがない。
相手がなぜか怒っている。
たまたま、機嫌が悪いんだろう。
決算期末は予算消化するものだ。
だから、決算期末は売り込みのチャンスだ。
上記の何が間違いかお分かりでしょうか?
冷静に考えれば、そんなこと言えるのかい?
というものばかりです。
しかし、とかく人は決めつけたがるものです。
そのことによって、正しい情報が得られず、
交渉を有利に進められなくなってしまいます。
ゆえに、決めつけは禁物です。
フラットな気持ちで交渉に臨みましょう。
また、しっかりと相手の言い分を聴くためにも
聴く姿勢が大切です。
これが中盤での注意点になります。
たとえば・・・
相手の言葉の続きを発するように促す。
分かりにくいところは詳しく説明を求める。
相手の言葉を解釈して伝える。
相手の意見に賛成の意を伝える。
相手の言葉を短くまとめる。
相手の意見の重要性を評価して伝える。
しかも、主語は極力、「私は、・・・。」
にするとよいでしょう。
「あなたは、・・・。」だと突き放す印象を与えかねません。
しかし、「私は、・・・。」だと相手の意見を
受け入れている印象を与えやすくなります。
最後に、終盤ですが・・・
交渉全体を振り返って問題の有無を確認してください。
特に、・・・
当初の目標との違いが無いか?満足のいくものか?
妥結点は実行可能性が高いものか?
相手を置いてきぼりにしていないか?
高い視点から得られた結論であるか?
交渉全体につじつまが合っているか?
お互いに納得のいくものであったか?
・・・などは、
交渉が終盤に近くなったころから、
終始、自問自答しておくとよいでしょう。
さて、次回はこの交渉がいつもうまくいくとは限りません。
そこで、交渉決裂した時の留意点について
解説していくことにしましょう。