自分さえよければよい。
そんな風潮を益々感じる今日この頃です。
結局その考え方が発想を小さくしてしまっているのではないでしょうか?
そして、すべての責任を自分以外の者に求める?!
あ~、嘆かわしい。
でも、他人のために汗を流す人たちも大勢います。
そんな発想に立ちたいものです。
では、いったいどうすればよいのでしょうか?
(1) ビジョンが変われば経営システムが変わる
これらの考え方を経営システムに置き換えてみると、次のように考えられます。
まず経営の機能(F)が、その会社の「経営理念」になります。
なぜなら、その会社の目指す方向性が表現されているからです。
そして、インプット( I )がその会社の経営資源(人・物・金・情報・時間)となり、アウトプット(O)が経営理念(機能:F)によって変換された後の経営資源となるわけです。
さらに、この経営理念を果たすために、人事システムや経理システム、営業システムや生産システム、また情報管理システムや購買システムが大枠の機能の中に存在することになります。
但し、多くの場合、経営理念は不変です。
そこで、経営システムの設計を考える場合には、大枠の機能を経営理念とせず、経営理念達成のために現時点で目指すその会社の「ビジョン」を機能としてとらえていくと考えやすくなります。
するとこの「ビジョン」が変われば、それに伴い「営業システム」等が変化するわけです。
しかし、ここで考えなければいけないのは「ビジョン」が変われば「ビジョン」達成のためのすべてのシステムを変える必要が出てくるわけです。
(2) 部分的研修は効果なし
ところが、企業研修を担当させていただくと、多くの企業がこの全体の変化を捉えないまま部分的に研修を導入してしまう傾向があります。
すると、研修と現場の矛盾が露出し、研修効果を半減以下にさせてしまうことになるわけです。
この代表例が「評価システム」です。
つまり、評価が従来の方式のまま、新しいことにチャレンジさせようとしても人間は動かないということです。
例えば、「ビジョン」の変更に伴い、営業マンを「待ちの営業スタイル」から「攻めの営業スタイル」に変えようとしても「評価システム」や「営業マン支援システム」が変わっていなければ、このシステムは元々動かないものとなります。
にもかかわらず、営業マンだけに「攻めの営業スタイル」を身につけさせる研修を行っても効果は出ないということです。
(3) 経営というシステムを押さえた人材教育が必要
そこで、常に念頭に置いておかないといけないことは、一部のシステムの変更やシステムの一部の変更は、他のシステムに必ず影響を与えるということです。
そのうえで、誰にどんな研修を受講させるのか、またどんな指導をさせるのか等を決めていく必要があるわけです。
結局、仕組みを創り出すのも「人」であり、その仕組みを使ってシステムを動かすのも「人」です。
先にも述べた通り、これからも、企業の経営システムは環境変化に対応して大なり小なりの変化が要求されます。
故に、経営というシステムの全体を押さえた上での「人材教育」が今後ますます必要となってきます。
それでは、次回から、この考え方に基づいて研修を実施するとどんな効果が出るのか、また逆に場当たり的に研修を行うとどうなってしまうのか、実例を挙げながら説明をさせていただきたいと思います。