31.動機づけ理論の変遷

それでは、

最後に動機づけの方策を考え出すための

ベースとなる「動機づけ理論」の変遷

について解説を行っていきます。

いわゆるモチベーションを高めるために

考え出された理論のことです。

最近は、

「モチベーション3.0」が取りざたされています。

しかし、

これは新しい理論ではありません。

現代のビジネスマンの興味関心がどこにあるのか

を確認してそこにドライブをかけよう

と言っているに過ぎません。

では、

どこに興味関心があると言っているのか?

それは、

仕事そのものの充実や達成感、成長欲求という

非金銭的な報酬にあると言っています。

しかし、

これはすでにハーツバーグによって

衛生要因や促進要因という観点で

整理されています。

ゆえに、

モチベーション3.0は、

この促進要因を発展させたもの

という解釈もあります。

促進要因とは、

なくてもモチベーションは下がらないが

あるとモチベーションが上がりやすいもの

と言われています。

それが、

先ほどの仕事の充実や達成感、成長欲求などです。

逆に、

衛生要因は、

あってもさほどモチベーションは上がらないが

ないとモチベーションが下がってしまうもの

のことです。

賃金や休暇、福利厚生などがそれに当たります。

このハーツバーグ理論とほぼ同時期に出されたのが

マズローの欲求5階層説です。

大きく高次の欲求と低次の欲求に分かれ、

高次が促進要因に相当し、

低次が衛生要因に相当します。

細かく言うと、

生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求が

低次の欲求で

自我の欲求や自己実現の欲求が

高次の欲求になります。

それ以前は、

エルトン・メイヨーの人間関係論であったり、

テーラーの科学的管理法が唱えられていました。

興味関心のある方は調べてみてください。

要するに、

その時代に合わせて動機づけ理論が

提唱されてきたわけです。

極論すれば、

科学的管理法は今では人間を機械のように扱う

という批判がなされます。

なぜなら、

一定基準を設けて

それをオーバーすれば報酬を与え、

下回ったら罰則を与えるという

アメ・ムチによる管理方法だからです。

しかし、

この科学的管理法が提唱された時代にあっては、

学校に通うことのできない子供たちにも職を与えて

賃金を支払うためには最も合理的だったわけです。

ゆえに、

動機づけ理論はそれが正しいか間違っているかではなく、

なぜ、それが提唱されたのか

という背景理解が重要になります。

モチベーション3.0も、

リストラが続き終身雇用が崩壊している時代おいて

果たして通用するのかというとどうでしょうか?

非金銭的報酬に興味関心があるというより、

まずは金銭的報酬と安定した職ではないでしょうか?

それが満たされるからこそ

非金銭的報酬へ興味関心が移ると言えます。

まさに現代は混沌としており、

各個人のモチベーションの源泉も

実はマチマチとも言えます。

そんな時代に一つの理論だけで

人間のモチベーションを語ることは不可能です。

ですから、

部下一人ひとりの置かれた状況を

上司が個別に把握して一人ひとり適切な指導を

行うことが求められています。

そのためには、

これまでお話してきた内容を思い出していただいて

期初から期末まであらゆる局面での動機づけを

図っていただきたいと思います。

つまり、

このテーマでずっとお話してきたことを

実践してください、

ということです。

上長の方々にはこの実践を通じて、

役職に応じた業績を上げ続けていただくことを

期待しています。

さて、以上で

「『マネジメントの教科書』あなただけに教えるマネジメントの基本31のノウハウ」

は終了です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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