構築・運用する評価制度は、下記の3点です。
1.行動目標を自己設定する
情意考課、能力考課の部分をコンピテンシーに置き換え、職位・職種ごとのコンピテンシーに基づき、行動目標を自己設定する(上司とも統合する)
2.絶対評価
業績成果とコンピテンシーに基づく査定を点数評価して、報酬と連動させる。
3.マイナス査定
頑張って成果を出した人と、そうでない人を明確にして、社員のやる気を引き出す。
全員が頑張って成果を出せば、業績が向上するので、マイナス査定がなくても原資はまかなえる。
【解説】
1.行動目標を自己設定する
評価対象は一般的に三つあります。
業績考課と情意考課と能力考課です。
業績考課は、会社が決めた業績を付与する形式と、自分で設定する形式があります。
ただ、この業績考課については、自分で設定する形式はお勧めしません。
なぜなら、業績は達成しないと会社が倒産してしまうかもしれないからです。
なので、お勧めするのは付与型です。
評価対象も数もレベルも比重も会社側が決めた方が良いでしょう。
しかし、情意効果と能力考課は違います。
とは言っても、業績目標を達成するために必要なものが選定されている飛鳥があります。
そこまでは付与型です。
なので、ここでは情意考課や能力考課という言葉を使わず、「コンピテンシー」という言葉を使います。
コンピテンシーとは「行動特性」のことです。
言い換えれば、業績目標を達成するために起こさなければならない「行動」を示しています。
業績目標を達成するためのプロセスとも言えます。
この「コンピテンシー」は、社長や経営陣が選択します。
すでに、8群75項目で整理されたマスターがあります。
ゆえに、作業時間は大幅に短縮されます。
そのうえで、選択された各コンピテンシーごとに、社員が自ら目標設定をしていきます。
ここが自己目標の設定です。
職種や職位ごとに、例え同じコンピテンシーであったとしても、自己設定したその目標内容は異なります。
これを上司と統合し、上司は指導対象にしていきます。
なので、指導によってコンピテンシーに基づく目標が達成され、それが業績目標の達成につながり、会社自体の業績向上につながるという仕組みとなります。
2.絶対評価
業績とコンピテンシーについて評価するときは「絶対評価」で行います。
まず、それぞれ6段階や4段階など中間値で評価できないようにします。
そして、各評価段階に応じて点数化します。
その点数を合計して各人の評価点を決めます。
そのうえで、その評価点に応じて給与に反映させます。
給与に反映させずらい会社様の場合には、賞与や何らかのインセンティブに反映させます。
いずれにしても、原則として相対評価は行いません。
なぜなら、評価と報酬が連動してこその評価だからです。
もちろん、「評価と報酬は連動すべきではない」という考え方もあります。
ただし、それは「組織規模」がかなり大きい場合や評価があいまいな場合です。
しかし、組織が大きくても各拠点ごとに配分原資を変えれば良いだけです。
つまり、相対的に配分原資は変えるが、各拠点内の評価は絶対評価で行うということです。
給与号俸のピッチや賞与などのインセンティブの金額を変えることでも対処できます。
また、評価があいまいな場合は、絶対評価は難しいでしょう。
言い換えれば、相対評価しかできないというのは「評価があいまいである」ということを宣言しているのと同義とも言えます。
業績効果は、絶対評価でできます。
コンピテンシー考課もマスターに従って選択したコンピテンシーごとに具体的な目標を設定します。
そのコンピテンシーに基づく目標が達成しなければ、業績が達成しないという仕掛けになっています。
すると、具体的な目標になっていますので、絶対評価が可能になるわけです。
いずれにしても、制度構築や運用で工夫をして絶対評価ができるようにしていきます。
3.マイナス査定
原則として「マイナス査定」を取り入れていただきます。
もちろん、「絶対評価」なので「マイナス査定」の対象者がいない場合も出てきます。
そのときは、会社の業績が向上しています。
ゆえに、配分原資の調整のために「マイナス査定」を行うわけではありません。
あくまでも、一人ひとりの評価に基づいて、明らかに給与に見合った働きをしていないとしか言えないような評価点数の場合には、「マイナス査定」もあり得るというようにしておくということです。
メリットは、「パフォーマンスの向上」です。
結果を出さなければ「マイナス評価」となり、給与も下がるということであれば、結果を出す方向に人は動きます。
しかも、結果を出せば給与や賞与などが上がります。
この信賞必罰の仕組みが、組織の活力につながります。
ただし、「マイナス査定」になるような部下を出さないように指導する義務が管理職にはあります。
しかも、結果を出す部下を育成すればその管理職の評価にもつながるわけです。
なので、部下を自分の手足のように使って部門の業績を上げても、それは管理職として評価されません。
そのためにも、部下育成できる管理職のコンピテンシーを評価項目として選定しておく必要があります。
これで「マイナス査定」を取り入れた効果が出ることになります。